コミュニティ難民のススメ

 

コミュニティ難民のススメ ― 表現と仕事のハザマにあること ―

コミュニティ難民のススメ ― 表現と仕事のハザマにあること ―

 

 『「領域を横断しながら、同時進行で数々の意見を聞き出すことによって、自分の頭のなかにインプットされたネットワークが創発し合うんです。そのことで、さまざまな協働をプロデュースすることができるんですよ」

 銀行営業で培ったインタビュー力を編集力にまで拡張させ、ステークホルダー同士のスキルを異なる分野へ転用させる。そして、「その転用には、一見銀行営業ど真ん中ではなさそうな、あらゆることを実験できる”飛び地”が生きてくる。それがREENALなんです」。

 藤原さんはRESONARTやマイ水筒キャンペーンなどの事例を立ち上げる中で、先輩や同僚から「そんなことして金になるの?」「”本業”の役に立つのか?」など、さまざまな疑問や批判にさらされてきた。REENALは、銀行本体業務の周縁にある事業としてしか見られていなかったのだ。しかし、この”飛び地”で起こる地域とのコミュニケーションで実感したのは、「”お金を貸してくれるから”じゃなく、”この人と一緒に仕事をしたい”」と思わせる真価がここでこそ問われる」ということ。』 P54

 

『「表現できることと、表現すべきものの本質を把握することは別ものである」

「デザインや何かモノを作る技術を持っている人って、ある意味すぐに”表現”ができてしまうがゆえに、かえって”その段階”で終わってしまう人たちが多いんです。表現活動にとって必要なのは、いま何を表現し、それを誰にどのように伝えるべきかという、”表現すべきものの本質の把握”なのだと。優秀なクリエイターにはこの表現できる”技術”と”本質の把握力”の双方が備わっていると思うんです」。逆に言えば、本質さえ把握しておけば、その技術の使い方は、いかにもその技術が使われそうな現場以外へも転用できるということだ。』P56

 

『”誰から頼まれたか”がこの仕事に対して挑戦する最大の理由だった。

 

 依頼相手が自分の人的ネットワークから派生した関係性の間柄であれば、ある程度信頼の予測が立つうえで、このように考えるようになった。「自分の能力の使い方は自分で決めるものではなく、相手が決めていくものである」と。』P64

 

『日本人はデザインやアイデアといったソフトに金銭を支払う感覚があまりないため、ハードとして建物を建てないと仕事・お金にならない。だから壊さなくてもいい建築を壊して、建てなくてもいい新築を建て続けてきました。本当に建てるべきかどうかを議論する場が少ないことに、大きな疑問を感じてきました。』P89

 

『「○○のいしまるあきこ」ではなく、「いしまるあきこが○○もやっている」へ。その思考は、他者と出会う力をハブに、彼女自身が優れた”メディア”であることを想起する。』P94